あなたの免疫は大丈夫?ビタミンB群ビオチンの欠乏で免疫不全症を引き起こす可能性が

ビタミン

ビオチンはB群の1つで、水溶性のビタミンです。昨今、新型コロナウイルスの影響で”免疫力アップ”や”免疫力低下”など、免疫という言葉を耳にする機会が増えてきました。ビオチンが不足すると免疫不全症になるとはどういうことでしょうか。免疫不全と聞くと驚かれるかもしれませんが、免疫不全とは、身体の防御力が低下した状態で、細菌やウイルスの侵入を受けやすく、またそれらを外に追い出すことができなくなるため、感染症にかかりやすくなります。

免疫は様々な栄養素によって正常に機能しています。免疫力の低下を防ぐために鉄や亜鉛の摂取が有効な場合もあります。過度のストレスにさらされると免疫が低下するとも言われています。ここでは免疫に関係する栄養素の一つ、ビオチンの働きと欠乏症について詳しくご紹介します。

ビオチンの働き

ビオチンの働きは主に3つ。糖新生脂肪酸合成に必要なビタミンです。糖新生とは、エネルギーとなるご飯やパンなどの糖質は分解されてグルコースという物質になり全身に送られるのですが、人間の身体は糖質が無い場合に、糖質以外の物質からグルコースを作り出す代謝経路を持っています。これを糖新生と言います。

脂肪酸の合成とは、例えば、エネルギーとして使われる以上に、ご飯やパン・甘いお菓子などの糖質を摂りすぎてしまった場合に(活動量が低いまたは運動不足にも関わらず、糖質をドカ食いしてしまった等)、身体は余分なエネルギーを脂肪としてため込みます。これが脂肪酸の合成です。

また、ビオチンは抗炎症物質生成によるアレルギー症状の緩和作用があります。

・糖新生・脂肪酸合成に関与
・アレルギー症状の緩和

ビオチンが欠乏するとどうなる

ビオチンが欠乏すると、脱毛や皮膚炎、食欲がなくなるなどの症状が起こることがありますが、ビオチンは肉類や卵、豆類など幅広い食品に含まれており腸内細菌からも合成されるため、人での欠乏症はまれだと言われています。

しかしながら、欠乏症はまれだとは言え、ビオチンの欠乏は免疫不全症、Ⅰ型糖尿病、Ⅱ型糖尿病の発症リスクを高める可能性があることが分かっています。免疫不全症になると、身体の中に入ってきた細菌やウイルスを外に追い出すことが出来にくくなるため、感染症にかかりやすく、また重症化しやすくなります。普通の人がかからない感染症にもかかりやすくなります。

免疫不全症は、先天的な生まれつきのものと、後天的な原因(ビオチン欠乏、低栄養、がん、エイズなど)で発症するものとがあります。

人の身体が1日にどれだけのビオチンが必要か、詳しく見ていきましょう。

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1日に必要なビオチン量

1日あたりのビオチン摂取量は、日本人の食事摂取基準を参考にします。日本人の食事摂取基準は、健康増進法(平成14年法律第103号)第16条の2の規定に基づき、国民の健康の保持・増進を図る上で摂取することが望ましいエネルギー及び栄養素の量の基準を、厚生労働大臣が定めたものです。

乳児0~5か月児は、母乳中のビオチン濃度に基準哺乳量を乗じて算定し、6~11か月児は、0~5か月児の目安量から外挿して算定しています。妊婦・授乳婦は、目安量を設定するのに十分な摂取量データがないため、非妊娠時の目安量を適用しています。ビオチンの耐容上限量については、十分な生体データ・科学的根拠が無いため今回は見送りとの記載がありました。

ビオチンの食事摂取基準(㎍/日)
性別 男性 女性
年齢等 目安量 目安量
0~5(月)
6~11(月)
1~2(歳) 20 20
3~5(歳) 20 20
6~7(歳) 30 30
8~9(歳) 30 30
10~11(歳) 40 40
12~14(歳) 50 50
15~17(歳) 50 50
18~29(歳) 50 50
30~49(歳) 50 50
50~64(歳) 50 50
65~74(歳) 50 50
75以上(歳) 50 50
妊婦 50
授乳婦 50

出典:日本人の食事摂取基準2020年版

ビオチンを多く含む食べ物

ビオチンを多く含む食品は、肝臓(牛・豚・鶏レバー)、じん臓(牛)、鶏卵、ナッツ類、大豆製品、マガレイ、まいたけ、など様々な食品があります。あまり馴染みのないじん臓は、肉類専門店や焼き肉店などでは「まめ」という別名で売られています。中でも多く含むものを紹介します。

食べ物 1食あたりの可食量 含有量(㎍)
牛レバー 1切れ(20g) 15.2
豚レバー 1切れ(30g) 24
鶏レバー 1個(40g) 92
鶏卵 1個(50g) 12
牛じん臓 20g 18
ピーナッツ(乾) 10個(11g) 10.1
黄大豆 1/4カップ(32.5g) 9.1
マガレイ 1切れ(100g) 22
まいたけ 1/5パック(20g) 5

出典:八訂食品成分表2022

ビオチンの吸収阻害

ビオチンを多く含む食べ物の中に鶏卵がありますが、生卵を食べる機会が多い方は注意が必要です。生卵の卵白中に含まれる糖タンパクの”アビジン”とビオチンが結合すると、せっかく摂ったビオチンが身体へ吸収されにくくなるのです。

アビジンは加熱することで変性し、ビオチンと結合することはありません。つまり、生卵を大量に長期間食べ続けなければ、大きな問題はありません。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響

日本では2020年4月に緊急事態宣言が出され、全国の学校が休校になりました。学校だけでなく、感染拡大防止の措置により飲食店の休業、国内外の経済活動の停止により製造業の輸出が減少、消費の落ち込みにより宿泊業や娯楽業を中心に業況が悪化しました。私自身もコロナ禍に旅行をしようとは思いませんでしたし、外食も控えていました。

そして、経済活動の停滞により、失業や休業で収入が減少したのは女性やシングルマザーに多く見られ、その対処として食費を切り詰めているということが報告されています。そこで、2020年12月に全国の小中学校とその保護者を対象として新型コロナウイルス感染症拡大の子どもの食事への影響が調査されました。

その結果、緊急事態宣言中に食材を選んで買う経済的余裕が少なくなった保護者の割合は、年収が低い家庭ほど高く、経済格差がこのような形で現れていました。また、学校給食がなかった緊急事態宣言中に「肉・魚・卵・野菜」を1日2回以上摂取している子どもの割合は、すべての年収群で低下しているものの、世帯年収が低い群ではその低下割合が大きかったのです。つまり、学校給食のなかった期間は、収入の低い家庭ほど食材の組み合わせ不良等、子どもの食事に悪影響が大きかったということです。

文献:日本栄養士会雑誌より「社会経済的要因と子どもの食生活・栄養~健康格差・栄養格差への視座~」

経済的困窮者が真っ先に健康状態を悪化

経済的な事情により、必要な食材が買えなかったり、肉や魚・野菜の摂取量が減ったという家庭の栄養状態は大丈夫でしょうか。人の身体は毎日の食べたものでできています。冒頭でもご説明しましたが、免疫は様々な栄養素によって正常に機能しています。今回ご紹介したビオチンもその一つで、鉄や亜鉛、ビタミンB12・Cなども免疫に関わっている栄養素です。肉や魚、野菜、タンパク質をはじめとした多くの栄養素が必要量摂れていないとしたら、身体の免疫力が低下してしまいます。様々な感染症に感染しやすくなる可能性があるのです。

私たち栄養士・管理栄養士にできることは食に関する知識の普及と、世帯年収に区別することなく、栄養管理されたおいしい給食を子どもやお年寄りに提供することだと考えます。

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この記事を書いた人

福祉施設で働く栄養士です。日本栄養士会所属。医療施設給食、料理教室講師、エステティックサロンで栄養指導をしてきた経験から、日々の食事の大切さを痛感しています。Webサイト構築、広告運用の営業も経験あり。

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