葉酸の働き 不足すると胎児の神経管閉鎖障害や悪性貧血を引き起こす

いちご ビタミン

葉酸の働き

葉酸は水溶性のビタミンです。葉酸は核酸というDNA(遺伝子の集合体)とRNA(遺伝情報を元にたんぱく質をつくる際に必要)の原料の合成に関わる補酵素として働いていています。DNAという言葉は、聞いたことのある方も多いかと思いますが、DNAには、あなたの目の色、髪の色や質、手足の長さなどの親から受け継いだ遺伝情報を担う情報が集まっています。

妊娠初期に、父親のDNAと母親のDNAを併せ持つ、1つの受精卵が細胞分裂して成長する際にも葉酸は不可欠で、妊娠を継続するのに欠かせない栄養素なのです。また、葉酸は正常な血液を造り出したり、ビタミンB12と同様に不足すると悪性貧血を引き起こします。

葉酸の欠乏症

葉酸が欠乏すると、骨髄に巨赤芽球が現れる巨赤芽球性貧血になります。

また、葉酸が欠乏すると、動脈硬化や心筋梗塞の引き金となる可能性があります。

妊娠初期の葉酸欠乏は、胎児の神経管閉鎖障害を引き起こす可能性があります。

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妊婦の葉酸摂取量

葉酸サプリメント

上述した、DNAに関わる細胞の分化に重要な役割を担っている葉酸ですが、日本では2000年に厚生労働省から、妊娠の可能性がある女性が通常の食事からの葉酸摂取に加えて、いわゆる栄養補助食品(サプリメント等)から1日400μgの葉酸を摂取することによって胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを低減できる可能性があるとの発表がありました。

諸外国の研究結果から神経管閉鎖障害のリスク低減のための葉酸の摂取時期は、およそ妊娠1か月以上前から妊娠3か月までとされています。妊娠を希望している女性は妊娠がわかる前、妊活中からの葉酸摂取が望ましいということです。

プロテイルモノグルタミン酸型

通常の食事から摂取する葉酸、自然界の食べ物に含まれている葉酸はそのほとんどがポリグルタミン酸型といって、小腸で吸収される際の吸収効率が悪いと言われています。

厚生労働省は、胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減のためには、サプリメント等栄養補助食品に使われている合成の葉酸(プロテイルモノグルタミン酸)を1日あたり400㎍摂取することを推奨しています。

  • 妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性及び妊娠初期の妊婦は、胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減のために、通常の食品以外の食品に含まれる葉酸(狭義の葉酸)を400 µg/日摂取することが望まれる。

引用「日本人の食事摂取基準」(2020年版)

厚生労働省e-ヘルスネット 葉酸とサプリメント

葉酸の1日あたりの摂取目安量

1日あたりの葉酸摂取量は、日本人の食事摂取基準を参考にします。日本人の食事摂取基準は、健康増進法(平成14年法律第103号)第16条の2の規定に基づき、国民の健康の保持・増進を図る上で摂取することが望ましいエネルギー及び栄養素の量の基準を、厚生労働大臣が定めたものです。

葉酸の摂取目安量を記載しましたので、参考にしてみてください。

成人・高齢者では、葉酸欠乏である巨赤芽球性貧血を予防するために必要な葉酸濃度を維持できる食事性葉酸の最小摂取量を基に算定しています。

また、小児では18~29歳の推定平均必要量を基に、体重比の0.75乗と成長因子を用いて外挿して算定しています。

葉酸の食事摂取基準(㎍/日)
性別 男性 女性
年齢等 推定平均必要量 推奨量 目安量 耐容

上限量2

推定平均必要量 推奨量 目安量 耐容

上限量2

0~5(月) 40 40
6~11(月) 60 60
1~2(歳) 80 90 200 90 90 200
3~5(歳) 90 110 300 90 110 300
6~7(歳) 110 140 400 110 140 400
8~9(歳) 130 160 500 130 160 500
10~11(歳) 160 190 700 160 190 700
12~14(歳) 200 240 900 200 240 900
15~17(歳) 220 240 900 200 240 900
18~29(歳) 200 240 900 200 240 900
30~49(歳) 200 240 1,000 200 240 1,000
50~64(歳) 200 240 1,000 200 240 1,000
65~74(歳) 200 240 900 200 240 900
75以上(歳) 200 240 900 200 240 900
妊婦(付加量)3,4 +200 +240
授乳婦(付加量) +80 +100

1プテロイルモノグルタミン酸(分子量=441.40)の重量として示した。

2 通常の食品以外の食品に含まれる葉酸(狭義の葉酸)に適用する。

3 妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性及び妊娠初期の妊婦は、胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減のために、通常の食品以外の食品に含まれる葉酸(狭義の葉酸)を400 µg/日摂取することが望まれる。

4 付加量は、中期及び後期にのみ設定した。

 

葉酸を多く含む食べ物

レバー

葉酸は、肉類の肝臓(レバー)、海藻類、魚卵、野菜、果物などに多く含まれています。レバーは血液を含んでいるため、生臭みがあり鮮度も落ちやすいです。選び方としては、色が酸化して黒ずんでいない鮮やかなものを選びます。スーパーなどで買ってきたら直ぐに調理しましょう。手軽に摂りやすい食材としては、焼きのりやブロッコリーです。味つけのしてあるのりは塩分が多い場合もありますので、摂りすぎには注意しましょう。

食べ物 目安量 葉酸含有量(㎍)
牛レバー 2切れ(40g) 400
豚レバー 2切れ(40g) 332
鶏レバー 1個(40g) 520
生うに 大さじ2(30g) 108
いくら 大さじ1杯(10g) 10
干しのり 1枚(4g) 48
焼きのり 5枚(5g) 95
いちご 5個(80g) 72
ブロッコリー 1/8個(30g) 63
ほうれん草 おひたし1食(70g) 72
枝豆 40g 104

葉酸の摂り方

葉酸は水溶性のビタミンですので、煮たり焼いたりする調理の過程で、失われやすいビタミンです。さらに吸収効率が悪いということから、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを低減するに十分な量の葉酸の摂取が期待できません。その為、妊娠を希望する女性、妊活中の女性は、サプリメント等で合成のモノグルタミン酸型の葉酸を摂ることが推奨されています。

葉酸は多く摂りすぎたとしても、尿中に排出されますから、過剰症は起こりません。ただし、水に溶けやすく、すぐに排出される為、食事やサプリメント等で毎日の摂取が必要となるのです。

この記事を書いた人

福祉施設で働く栄養士です。日本栄養士会所属。医療施設給食、料理教室講師、エステティックサロンで栄養指導をしてきた経験から、日々の食事の大切さを痛感しています。Webサイト構築、広告運用の営業も経験あり。

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