バセドウ病や橋本病 甲状腺機能の異常が女性に多いのはなぜ?自己抗体が作られるきっかけは

甲状腺をさわる ミネラル

バセドウ病とは

甲状腺ホルモンの分泌が過剰が起こり、甲状腺機能が亢進して甲状腺が肥大する疾患をバセドウ病、または甲状腺機能亢進症、グレーブス病とも言います。甲状腺ホルモンの過剰によって基礎代謝率、熱産生量が増加し、いつもより食欲はあるがエネルギー消費量が多いために、体重が減少するといった代謝の異常をきたします。

バセドウ病の症状には、以下のようなことがおこります。

甲状腺の腫れ、眼球突出、食欲亢進・下痢・体重減少、頻脈、精神・神経症状(不安感など)、疲れやすい、皮膚症状、無月経

橋本病とは

バセドウ病とは逆で、甲状腺ホルモンの分泌低下で起こる甲状腺機能低下症が、橋本病です。子供に甲状腺機能低下が起こったものをクレチン症と言います。妊娠中の女性がヨウ素を欠乏すると、胎児がクレチン症になる可能性が高くなります。

橋本病の症状には、以下のようなことがおこります。

徐脈、皮膚乾燥、便秘、疲れを感じにくい、高コレステロール血症、冷え性・体温低下、貧血

甲状腺の機能異常が女性に多い理由

バセドウ病は下垂体前葉の甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって甲状腺が刺激され、甲状腺ホルモンが過剰に合成・分泌されることで起こる病気です。この病気は自己免疫疾患です。自己免疫疾患とは、細菌やウィルスなどから体を守るための免疫が、自分の臓器・細胞を標的にしてしまうことで起きる病気の総称です。TSH受容体に対する自己抗体が作られ、それがTSHと同じように甲状腺を刺激し続けるためトリヨードチロニン(T3)とチロキシン(T4)が過剰に増え続けてしまうのです。

なぜ自己抗体が作られるのかは、はっきりとは分かっていませんが、大きなストレスや強いウイルス感染、妊娠・出産などをきっかけとして起こるのではと考えられています。女性しか経験できない妊娠・出産がバセドウ病のきっかけになることがあることから、統計的に甲状腺に関わる病気は女性の方が多いのではないでしょうか。

また、橋本病の原因もはっきりとは分かっていませんが、特異性自己免疫説が有力で、やはり女性に多い病気です。

そもそも甲状腺とは

甲状腺は喉と気管の間あたりにある、蝶のような形をした内分泌器官です。甲状腺では甲状腺ホルモンが作られていて、その構成成分の主なものがヨウ素です。バセドウ病も橋本病も、この甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンに関わる病気です。

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ヨウ素の生理作用

ヨウ素は人の体の中で70~80%は甲状腺ホルモンとして存在しています。また、ヨウ素は甲状腺ホルモンの原料でもあります。甲状腺ホルモンは、トリヨードチロニン(T3)とチロキシン(T4)があり、これらのホルモンはエネルギー代謝やたんぱく質の合成に関わっています。

ヨウ素の欠乏症

甲状腺ホルモンの原料となるヨウ素ですが、ヨウ素が欠乏すると妊娠中では胎児の死産や先天異常、クレチン病といった甲状腺機能低下症を引き起こす可能性があります。成人では、甲状腺腫が起こります。

しかしながら、ヨウ素は海藻やワカメなどの海産物に多く含まれているため、日本人は昔から海藻を摂る習慣がありますので欠乏症はあまり見られないと言われています。何らかの理由で海藻を食べる機会が無い方は、欠乏症を起こさないためにも、意識して摂る必要があります。

また、ヨウ素の欠乏や過剰が直接的な原因で、バセドウ病や橋本病が起こることはありません。

1日あたりのヨウ素摂取量

1日あたりのヨウ素摂取量は、日本人の食事摂取基準を参考にします。日本人の食事摂取基準は、健康増進法(平成14年法律第103号)第16条の2の規定に基づき、国民の健康の保持・増進を図る上で摂取することが望ましいエネルギー及び栄養素の量の基準を、厚生労働大臣が定めたものです。

日本の妊婦を対象とした報告は不足していますが、妊娠中はヨウ素過剰への感受性が高いと考えられるため、非妊娠時よりも過剰摂取に注意する必要があり、非妊娠時よりも低い値を設定しています。

授乳婦:母乳のヨウ素濃度を極端に高くしない観点から、ヨウ素の過剰摂取に注意する必要があるため、非授乳時よりも低い値(妊婦と同じ値)を設定しています。

ヨウ素の食事摂取基準(㎍/日)
性別 男性 女性
年齢等 推定平均必要量 推奨量 目安量 耐容

上限量

推定平均必要量 推奨量 目安量 耐容

上限量

0~5(月) 100 250 100 250
6~11(月) 130 250 130 250
1~2(歳) 35 50 300 35 50 300
3~5(歳) 45 60 400 45 60 400
6~7(歳) 55 75 550 55 75 550
8~9(歳) 65 90 700 65 90 700
10~11(歳) 80 110 900 80 110 900
12~14(歳) 95 140 2,000 95 140 2,000
15~17(歳) 100 140 3,000 100 140 3,000
18~29(歳) 95 130 3,000 95 130 3,000
30~49(歳) 95 130 3,000 95 130 3,000
50~64(歳) 95 130 3,000 95 130 3,000
65~74(歳) 95 130 3,000 95 130 3,000
75以上(歳) 95 130 3,000 95 130 3,000
妊婦(付加量) +75 +110  ―1
授乳婦(付加量) +100 +140  ―1

1妊婦および授乳婦の耐容上限量は、2000μg/日とした。

日本人の食事摂取基準(2020年版)

ヨウ素を多く含む食べ物

海藻

ヨウ素を多く含む食べ物は、昆布やひじきなどの海藻類や、くろあわび、まだかあわび、まだらなどの一部の魚介類があります。また、昆布でとった昆布だしなどにもヨウ素は多く含まれます。

食べ物 目安量 含有量(㎍)
ながこんぶ 素干し 5g 10500
刻みこんぶ 2g 4600
干しひじき 乾燥 5g 2250
カットわかめ 乾燥 3g 300
まだら 80g 280
めかぶわかめ 30g 117
くろあわび 50g 100
あおさ 3g 66
あおのり 3g 81

参考

一般社団法人 内分泌学会 バセドウ病
生化学 化学同人
臨床栄養管理 建帛社
八訂食品成分表2022

 

この記事を書いた人

福祉施設で働く栄養士です。日本栄養士会所属。医療施設給食、料理教室講師、エステティックサロンで栄養指導をしてきた経験から、日々の食事の大切さを痛感しています。Webサイト構築、広告運用の営業も経験あり。

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