喫煙者がβカロテンサプリを摂ると肺がんリスクが高まる

喫煙 ビタミン

日本人の死因第1位は悪性腫瘍(がん)です。(令和2年)なかでも、男性では1位肺がん、女性では1位大腸がん、次いで2位肺がんとなっています。

多くのサプリメントは「栄養補助食品」や「健康補助食品」と呼ばれていて、日々の食事を補う「食品」である。サプリメントを飲んでいる方の中には、食事だけでは足りない栄養素を補って、少しでも健康を維持・増進したいと思っている方が多いのではないでしょうか。ただし、タバコを吸う方は注意が必要なサプリメントがあります。喫煙者がβ(ベータ)カロテンのサプリメントを摂取すると肺がんのリスクが高まるという研究データがあるのです。

βカロテンとは?

緑黄色野菜βカロテンは、体の中でビタミンAに変わることができるカロテノイドの一種。かぼちゃや人参などの緑黄色野菜に多く含まれています。カロテノイドにはβカロテンのほかに、リコピンやルテインなどもあります。

βカロテンを筆頭にカロテノイドは抗酸化作用が強いので、体の中で活性酸素を除去したり、発がんを抑制することができる優れもの。しかしながら、喫煙者がβカロテンのサプリメントを摂ると、がんを抑制するどころか、がんを誘発してしまうので、注意が必要なのです。

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喫煙者にβカロテンサプリは肺がんリスク

アメリカの研究で、喫煙者がβカロテンのサプリメントを毎日20 mg摂ると、肺がんの発生率が高まるという結果がでました。もともとは、ビタミンEとβカロテンを投与された男性喫煙者で肺がん発生率が低下するかを調べる研究だったのですが、ふたを開けてみると、βカロテンのみ摂取した被験者で肺がん発生率が高まったというのです。

ビタミンE(アルファ-トコフェロール)、ベータカロチン、またはその両方を毎日補給することで、肺がんやその他のがんの発生率が低下するかどうかを判断しました。50〜69歳の合計29,133人の男性喫煙者が、4つのレジメンの1つにランダムに割り当てられました:ビタミンE<アルファ-トコフェロール>(1日あたり50 mg)のみ、ベータカロチン1日あたり20 mg)のみ、ビタミンEとベータカロチン、またはプラセボ。フォローアップは5〜8年間続けられました。結果はベータカロチンを投与された男性の方が投与されなかった男性よりも肺がんの発生率が高いことが観察されました(発生率の変化、18%; 95%信頼区間、3〜36%)。national library of medicine(アメリカ国立医学図書館)

タバコの有害性

加熱式タバコ

がん

タバコの煙には5300種類もの化学物質が含まれており、がんの原因ともなるタールをはじめ、依存性の高い毒物ニコチンなどの有害物質は、およそ530種類も含まれています。喫煙者本人が吸いこむ煙を主流煙、タバコの点火部から立ち上る煙を副流煙と言い、実際には主流煙より副流煙の方が多くの有害物質を含んでいると言います。タバコを吸わない人でも、喫煙者と同じ空間にいて副流煙を吸ってしまう受動喫煙で、肺がんリスクは高くなります。

また、喫煙は肺がんだけでなく、咽頭がんや喉頭がんなど様々ながんも引き起こすことが分かっています。

喫煙によるその他疾患

タバコの煙に含まれる有害物質は、肺から血液に乗って全身へと運ばれますから、循環器系、消化器系、中枢神経系の機能に影響を及ぼします。喫煙が原因で引きおこる疾患には、肺気腫、脳卒中、胃潰瘍、気管支炎、心筋梗塞、歯周病などがあります。

非喫煙者では問題なし

非喫煙者で、βカロテンのサプリメントを摂取して肺がん発生率が高まったという報告は、今のところありません。

喫煙者は健康志向が高い?

発がん物質を多く含んでいるタバコ。がんのリスクや喫煙に関連する疾患の他にも、タバコを吸う人は吸わない人に比べて、多くのビタミンCを消費してしまうことが分かっています。その為、同年代の人よりも多くのビタミンCを摂取する必要があるのです。

ビタミンCはからだの中では作られない栄養素で、必ず食品から摂る必要がある必須微量栄養素です。抗酸化作用や抗ストレス作用などビタミンCには多くの生理作用があり、なかでもコラーゲンの生成に深く関わっており、シミの元となるメラニンの生成を抑制する働きもあります。

昨今の疫学調査で、喫煙が健康に(悪)影響を与えていることは明らかではありますが、タバコに含まれるニコチンによる依存症は、なかなか抜け出せるものではありません(喫煙を推奨しているわけでもありません)。喫煙者も健康を害しているのを承知の上で吸っているため、少しでも食事に気を使ったり、サプリメントでビタミンを補助している方が多いように思います。ビタミンCだけ、のような単一サプリではなく、マルチビタミンなどの複合型のサプリメントで、思わぬかたちでβカロテンが入っていることもありますので、サプリメントを服用する際には、その内容量をよく確認してから摂取するようにしたいですね。

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また、βカロテンのサプリメントとタバコに含まれる化学物質が、からだの中でどのように作用して肺がん発生率を高めたのか、詳しいことは分かっていません。

この記事を書いた人

福祉施設で働く栄養士です。日本栄養士会所属。医療施設給食、料理教室講師、エステティックサロンで栄養指導をしてきた経験から、日々の食事の大切さを痛感しています。Webサイト構築、広告運用の営業も経験あり。

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