ビタミンCは水溶性のビタミンです。人の体の中でコラーゲンの生成に関与しているため、肌に良い、また野菜やフルーツに含まれるため、健康に良いというイメージがありますね。今回はビタミンCの働きとビタミンCを含む食べ物、効果的な摂取の仕方についてご紹介します。
ビタミンCの生理作用6つ
1.皮膚や粘膜を正常に保つ
ビタミンCはコラーゲンの生成に深く関わっています。また、シミの原因となるメラニンの生成を抑制する働きもあります。
2.鉄分の吸収をよくする
鉄分と同時にビタミンCや動物性たんぱく質を摂取することで、鉄の吸収を促進することができます。
特に植物性の鉄は非ヘム鉄(3価鉄、無機鉄)と言って、吸収が悪いのですが、ビタミンCなどの還元物質があると3価鉄が2価鉄に還元されて吸収が良くなります。
3.抗ストレスホルモンの合成に関与
人は肉体的、精神的なストレスにさらされるとアドレナリンが分泌します。アドレナリンが分泌している間は、交換神経が優位になり、体温や血圧を上げたり心拍数を増加させます。
ビタミンC(L-アスコルビン酸)が不足すると副腎皮質ホルモンのカテコールアミン(ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン)の合成がうまくできません。ストレス反応によってビタミンCの必要量が増加するという報告がされていることから、日常的にストレスにさらされている現代人は、ビタミンCを積極的に摂取することが望ましいと言えます。
また、喫煙習慣のある方は、潜在的にビタミンCが不足している状態とみなされますので、通常よりも多くのビタミンCが必要とされています。
4.抗酸化作用で免疫力アップ
ビタミンCは、鉄の吸収を良くするような強い還元作用をもつため、活性酸素によるからだの酸化を防いでくれる、抗酸化剤としての働きがあります。
鉄製のものが酸素と結びつき錆びるように、呼吸をしている人間のからだも錆びていきます(活性酸素がからだの酸化や老化の原因と言われています)。つまり、いつまでも若々しく、錆びないからだをつくるためにはビタミンCのような抗酸化作用のある食品を毎日の食事に取り入れて行くことが大切です。
ビタミンCの他に、ビタミンE、βカロテン、グルタチオン、尿酸、ポリフェノールなども抗酸化剤としての働きがあることが知られています。
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メモ
活性酸素とは、空気中にもっとも多く存在する分子状の酸素と、その関連分子の総称。体内で活性酸素が大量に発生すると、細胞内のDNAを損傷したり、体内で過酸化脂質を生成したりと体にとって良くない影響が及ぶ可能性が大きい。
5.殺菌作用で細菌感染を防ぐ
体の中に入ってきた異物(細菌やウイルス)に対して、からだは解毒・殺菌をしようと働きます。その解毒に関わる酵素の活性にビタミンCが深く関わっています。
「風邪を引いたらビタミンCを摂ると治る」という風説は、あくまでも「風邪の予防にビタミンCが効果的」であるだけで、ビタミンCを摂って風邪が治るわけではありません。
6.血管を丈夫にする
ビタミンCが欠乏すると、血管の結合組織が正常に作られないため、からだの様々な箇所で出血が起こる可能性があります。大航海時代に船乗りを死へと追いやった壊血病は、ビタミンCの豊富な新鮮な野菜や果物を長期間食べることができない船員に多発した病気です。ビタミンCは血管の組織をつなぐコラーゲンの生成にも関わっているため、不足すると出血しやすくなるんですね。
ビタミンCを多く含む食品
食品名 | 目安量 | ビタミンC含有量(mg) |
---|---|---|
柿 | 1個(170g) | 119 |
アセロラ | 1個(20g) | 340 |
ゆず | 1個(100g) | 150 |
オレンジ | 1個(130g) | 78 |
ブロッコリー | 4切れ | 80 |
キウイ | 1個 | 50 |
いちご | 5個(80g) | 50 |
グレープフルーツ | 1/2個(150g) | 54 |
温州みかん | 1個(100g) | 35 |
ビタミンCの効果的な摂り方
ビタミンCは果物や緑黄色野菜に多く含まれています。ビタミンCは熱に弱く、加熱調理でその半分以上を失ってしまいますので、生で食べられる果物は最適です。
また、人間は体内でビタミンCを作ることができません。そのため食べ物からの摂取が必須となるのですが、一度に大量に摂っても体にストックすることができず、余った分は尿として排出されてしまいます。
過剰摂取になることがないので多く摂ったとしても心配はいりませんけれど、毎食の食事に果物をひと品加えるとか、おやつに果物を食べるなど、摂取の方法に工夫が必要です。
ビタミンCの1日あたりの摂取目安量
1日あたりのビタミンC摂取量は、日本人の食事摂取基準を参考にします。日本人の食事摂取基準は、健康増進法(平成14年法律第103号)第16条の2の規定に基づき、国民の健康の保持・増進を図る上で摂取することが望ましいエネルギー及び栄養素の量の基準を、厚生労働大臣が定めたものです。ビタミンCの摂取目安量を記載しましたので、参考にしてみてください。
性別 | 男性 | 女性 | ||||
年齢等 | 推定必要量 | 推奨量 | 目安量 | 推定必要量 | 推奨量 | 目安量 |
0~5(月) | ― | ― | 40 | ― | ― | 40 |
6~11(月) | ― | ― | 40 | ― | ― | 40 |
1~2(歳) | 35 | 40 | ― | 35 | 40 | ― |
3~5(歳) | 40 | 50 | ― | 40 | 50 | ― |
6~7(歳) | 50 | 60 | ― | 50 | 60 | ― |
8~9(歳) | 60 | 70 | ― | 60 | 70 | ― |
10~11(歳) | 70 | 85 | ― | 70 | 85 | ― |
12~14(歳) | 85 | 100 | ― | 85 | 100 | ― |
15~17(歳) | 85 | 100 | ― | 85 | 100 | ― |
18~29(歳) | 85 | 100 | ― | 85 | 100 | ― |
30~49(歳) | 85 | 100 | ― | 85 | 100 | ― |
50~64(歳) | 85 | 100 | ― | 85 | 100 | ― |
65~74(歳) | 80 | 100 | ― | 80 | 100 | ― |
75以上(歳) | 80 | 100 | ― | 80 | 100 | ― |
妊婦(付加量) | +10 | +10 | ― | |||
授乳婦(付加量) | +40 | +45 | ― |
L-アスコルビン酸(分子量=176.12)の重量として示した。特記事項:推定平均必要量は、ビタミンCの欠乏症であえる壊血病を予防するに足る最小量からではなく、心臓血管系の疾病予防効果及び抗酸化作用の観点から算定。
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