黒酢には、コレステロールを下げる、血圧を下げる、血流改善などさまざまな効果が期待されています。中でも、熟成した黒酢に豊富に含まれるペプチドは、血液の流れを良くしてくれるはたらきがあります。今回は、黒酢がなぜ血流改善に良いのかと、ペプチドとの関係について詳しく解説していきます。
黒酢とはそもそも何からできている?
料理の味付けに使う、私たちが口に入れる「酢」は、大きく分けて醸造酢と合成酢に分けられます。
醸造酢のうち、米や小麦から作られた酢を穀物酢と呼び、さらに米酢、米黒酢、大麦黒酢に分類されます。
わたしたちは、米黒酢か大麦黒酢のことを一般的に黒酢と呼んでいます。
米黒酢
穀物酢のうち、米だけ、もしくは米に麦や大麦を加えたものを使用して作られたお酢をいいます。米黒酢の特徴的な黒い色は、発酵と熟成によって褐色や黒褐色に変化したものです。通常のお酢は約半年ほどで完成しますが、黒酢はそこから熟成をさせることで、まろやかで深い味わいになるといわれています。主に鹿児島県福山町で生産されています。
大麦黒酢
穀物酢のうち、大麦のみを使用して作られたお酢をいいます。酢1Lに対し、大麦の使用料が180g以上のもので、米黒酢と同じく発酵と熟成によって褐色や黒褐色に色づいたものをいいます。
ペプチドとは
では、黒酢に多く含まれているというペプチドとは一体何なのかを解説します。
わかりやすく説明するために、まずはたんぱく質の元となるアミノ酸について見ていきましょう。
食品に含まれるたんぱく質は、複数のアミノ酸で構成されています。もちろん黒酢にもたんぱく質は含まれています。その複数の種類の異なるアミノ酸とアミノ酸同士は、水分子によってお互いがくっついているのですが、これをペプチド結合といいます。
その、ペプチド結合によって生成される化合物のことを”ペプチド”というのです。
ペプチドのうち、アミノ酸が10個以上のものをオリゴペプチド、10個以上のものをポリペプチドと言ったりもします。
かいつまんで言うと、ペプチドはアミノ酸の集合体、と言ってもいいでしょう。
ペプチドがなぜ血流改善に良いのか?
黒酢の黒い成分に多く含まれているペプチドは、体内で赤血球の変形能を高めるはたらきがあることが分かっています。
変形能というのは、赤血球自身が自由自在に形を変えること。毛細血管の直径は平均6μm(6/1000mm)に対し、赤血球の直径は約8μmです。つまり、通常の大きさならば通れないごく細い毛細血管の中を、赤血球は変形能という特殊な能力によってかたちを変え、自在に行き来することがでるのです。その結果、毛細血管の中の血流の詰まりを防止できたり、血流改善に期待ができるというわけです。
わたしたちの体を流れる血液は、赤血球・白血球・血しょう板・血漿からなっています。なかでも、主に赤血球の変形能が低下すると、毛細血管の血液の流れが悪くなり、ドロドロの血液になってしまうのです。
赤血球の変形能の低下は、血糖の増加や悪玉コレステロールの増加、加齢などによって起こると言われています。
黒酢の血行改善効果は冷え性の予防にも
手足が冷えてつらい冷え性のかたにも、黒酢はおすすめです。
冷え性は、主に手足の末端の血行が滞って起きていることが多いのですが、黒酢のペプチドによって赤血球の変形能を高め、毛細血管のすみずみまで血液を送ることは、冷え性の予防に効果的と言えます。
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1日に10~30ccを目安に飲む
黒酢が血行改善に良いという理由がお分かりいただけたところで、黒酢の選び方、飲み方について説明します。
ペプチドは黒酢の黒い成分に豊富に含まれているのですが、黒い酢ならなんでも良いというわけではありません。ポイントは天然の黒酢であること。天然の米黒酢か大麦黒酢を選ぶようにしましょう。合成された黒酢にはペプチドは含まれていません。
また、飲み方についてですが、1日のうち10~30ccを目安に、料理に使ったり水やお湯で割って飲んだり、ご自身の食事のスタイルにあわせて摂りましょう。これは食べ物に限らずサプリメントなどにも言えることですが、黒酢の血液サラサラ効果を期待するのであれば、毎日続けて摂ることが大事です。
酢が健康に良いといわれているわけ
血流を促す効果のあるペプチドは、黒酢に多く含まれています。しかし黒酢だけでなく、昔からお酢は健康に良いとされてきました。黒酢を含むお酢を摂ることで、次のような効果が期待できます。
- 唾液や胃液の分泌を促進し、消化吸収を促してくれる
- 体内の疲労物質「乳酸」を分解してくれる
- 野菜や果物と一緒に食べることでビタミンCの吸収をよくしてくれる
- 黒酢に含まれるクエン酸とアミノ酸によってダイエット効果が期待できる
- 酢は本来殺菌力・抗防腐力が強いので、酢を使った料理は鮮度を保つことができる
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